起こりやすいトラブルと対処法
看護師が有料老人ホームで働くなら、起こりやすいトラブルを事前に知っておくと対策を立てやすいです。ここでは起こりやすいトラブルと、その対処法についてまとめています。
人間関係のトラブル
有料老人ホームは、看護を提供する対象や働くスタッフなどさまざまな点が医療機関と異なります。看護を提供する対象は、介護を必要とする入居者です。年齢を重ねて身体機能が低下した入居者がほとんどであり、医療機関のようにケガや病気の治療後には自立できる方ばかりではありません。医療機関から転職してきて慣れないうちは入居者との関係に戸惑うこともあり、入居者への対応がトラブルに発展することもあるようです。
また、働く職種も医療機関と異なるので、スタッフ同士でのトラブルも生じやすいといわれます。有料老人ホームでは介護士や生活相談員、ケアマネージャーなどさまざまな職種が働いており、一人ひとりで異なる役割を担っています。ほかにも看護師が複数名いる場合、看護師同士での人間関係のトラブルも無視できません。ほかの看護師と考え方が合わない場合、トラブルになりやすいです。
トラブルが生じる原因
医療機関ではたくさんの看護師が連携を図り患者さまのケアを行いますが、介護施設では看護師が少人数であり、その他の職種が多く働いています。たとえば看護師と介護士は、入居者に対するアプローチの仕方が違います。看護師は医療面からアプローチする一方、介護士は生活面からアプローチをします。看護師は命や健康に関して意識を向ける職業であり、介護士は入居者の快適な生活が続くように意識してケアをする職業です。介護士の他にもこうした職種の特性による違いがあり、それが原因でトラブルに発展するケースがあります。
職種の違いからくる先入観も、トラブルの原因の1つです。国家資格であり医療の知識を持っている看護師が、介護士に対して上から目線であるという先入観から、トラブルに発展するケースです。看護師はそういうつもりがなく介護士に指示を出したとしても、態度が高圧的だと受け取られることがあるのです。
対処法
有料老人ホームでは、医療機関と異なる職種同士で同じ目的を持って日々の業務に取り組む必要があります。職種ごとにメインの業務が違うとしても、入居者の生活をより快適なものにするという目的は共通です。看護師が有料老人ホームで働く際のトラブルは、この共通意識が薄れているときに起こりやすいといえます。
もちろん有料老人ホームで働く看護師のみの心掛けで対処できる問題ではなく、そこで働くすべての職種にもいえることです。日々の業務のなかで他職種を尊重し、共通の目的を見失わないことでトラブルを予防できるはずです。看護師は看護師ならではの知識や強みがあり、もちろん他の職種でも同じでしょう。職種の知識と強みをひけらかしているのではなく、業務で必要だから共有しているということを、どの職種も認識しておくことが大切です。